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労務管理体制に問題があったものの、解決金の支払による早期解決に成功した事例

状況

Y社に入社したXさんは、無断遅刻・無断欠勤を繰り返し、それを注意すると更に反抗的な態度を取るといった問題のある従業員であり、他の従業員からも度々不満の声が上がっていました。また、Xさんは、営業成績も芳しくなく、能力的にも問題がありました。
以上を踏まえ、Y社は、Xさんに即日解雇を言い渡しました。
すると後日、Xさんの代理人弁護士から、解雇は無効であり、Xさんは従業員としての地位を有しているため、Y社は賃金を支払う義務があるという内容の通知書が届きました。
Y社としては、解雇でトラブルになったこと自体が初めてでしたので、この段階で当事務所にご相談に来られました。

結果

そもそも使用者は、雇用契約書や就業規則において、解雇事由を明確に定める必要がありますが、Y社では、就業規則のみならず、雇用契約書も作成していませんでした。
また、Xさんの勤務態度及び勤務成績は不良であったものの、Y社では、始末書等の記録に残る形での指導・教育を行っておらず、またタイムカード等もないため、無断遅刻・無断欠勤の頻度も分からないという状況でした。
更に、Y社は、普通解雇と懲戒解雇の違いを認識しておらず、即日解雇を言い渡したものの、懲戒解雇であれば本来必要な手続を経ていませんでした。
以上からすれば、解雇が有効であると認められる可能性が低かったため、当初より解決金を支払う内容での和解を提案し、Xさんの4か月分の賃金に相当する解決金を支払うことを条件に合意退職する内容の和解が成立しました。

POINT

この事案では、Y社が雇用契約書や就業規則を作成しており、適切な労務管理を行い、また適切な手続で解雇を行っていれば、解雇は有効であると認められ、Y社は解決金を支払う必要がなかったと考えられます。
このように、労働者側に明らかな問題があっても、使用者側が然るべき手続を採っていない場合には、解雇が無効となってしまう場合があります。
トラブルとなった場合のリスクを最小限に抑える意味でも、労務管理体制の整備・定期的な見直しを強くお勧めします。

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