≪解決事例を更新しました≫「遺産の大部分を資産管理会社(同族会社)の株式が占める遺留分侵害額請求の事例」
遺産の大部分を資産管理会社(同族会社)の株式が占める遺留分侵害額請求の事例
(事案)
依頼者であるXさんの父親のAさんは、都内に複数の不動産を所有していましたが、15年前に資産管理会社を設立して、不動産の名義をその資産管理会社に変更し、不動産の所有及び管理はその資産管理会社が行っていました。
そのため、Aさんの遺産の大部分は、その資産管理会社の株式となっています。
今回、Aさんが亡くなり、その法定相続人は、長男のXさん、二男のYさんの2人です。
資産管理会社は、長年Aさんと同居していたYさんが代表取締役を務めており、それもあって、Aさんは「Yさんに全ての財産を相続させる」旨の公正証書遺言を残しています。
Xさんとしては、公正証書遺言は受け入れるとしても、遺留分侵害額請求は行いたいとのことで、当事務所にご相談に来られました。
(ポイント)
Xさんからの依頼を受けて、Yさんに対して遺留分侵害額請求を行いました。
これに対して、Yさんは、「資産管理会社は長年赤字が続いており、そのため株式の価値は0円である」として、遺留分の支払を拒否しました。
資産管理会社の確定申告書類を確認しますと、確かに毎年赤字決算となっていますが、それは役員報酬、接待交際費等の経費が高額であるためであり、資産管理会社の所有する都内の複数の不動産の価値は、市場価格に換算すると合計で3億円以上になると見込まれました。
(結果)
Yさんが遺留分の支払を拒否したため、遺留分侵害額請求訴訟を提起しました。
訴訟の中で、資産管理会社の株式の価値は、その所有する不動産の価値に相当するとの主張を行い、最終的には、株式について適正な評価を行い、妥当な金額の遺留分を支払ってもらう内容で和解が成立しました。
(コメント)
一定の資産をお持ちの方ですと、Aさんのように資産管理会社を設立しているケースは珍しくなく、また資産管理会社ではない事業会社であっても、遺産に株式(非上場会社の株式)が含まれる場合には、その評価が大きな争点となります。
非上場会社の株式の評価が争点となる相続では、専門的な知識・経験が必要となりますので、弁護士、公認会計士等の専門家のサポートを受けることをお勧めします。