≪解決事例を更新しました≫「遺産に収益物件(一棟ビル)が含まれる遺産分割の事例」
遺産に収益物件(一棟ビル)が含まれる遺産分割の事例
(事案)
依頼者であるXさんの父親のAさんは、都内に4階建のビルを所有し、その4階に居住していました。1階・2階はテナントとして賃貸し、3階はYさん家族が居住しています。
今回、Aさんが亡くなり、その法定相続人は、長男であるXさん、二男であるYさん、長女であるZさんの3人です。
XさんはYさんに対して、「ビルは第三者に売却して、その売買代金を3等分するべきだ」「Yさん家族が居住する4階の賃料を支払うべきだ」などと申し入れてきましたが、Yさんはこれに応じませんでした。
そのため、Xさんは、適切な遺産分割を希望して、当事務所にご相談に来られました。
(ポイント)
Xさんとしては、Yさんとは、ここ数年のいざこざもあって険悪な状態となっており、今後ビルの共有状態を続けていくのは困難であると考えていました。
一方で、Yさんが妥当な金額を支払うのであれば、Yさんがビルを単独で取得すること自体には異論がなく、必ずしも第三者に売却することにはこだわらないとの意向でした。
また、ZさんもXさんと同じ意向でした。
そのため、①妥当な金額の代償金の支払を条件に、Yさんがビルを単独取得する形、もしくは、②ビルを第三者に売却して、その売買代金を3等分する形のいずれかを目指して、手続を進めることになりました。
まずはYさんに弁護士より書面を送付し、話し合いによる解決を模索しましたが、話し合いは平行線で進みませんでした。
そこで、家庭裁判所に対し遺産分割調停を申し立て、同調停手続の中で和解に向けた話し合いを行うことにしました。
(結果)
遺産分割調停手続では、ビルの評価額、Yさん家族が3階に居住していたという使用利益をどう反映させるか(特別受益の問題)等が論点になりましたが、最終的には、Yさんが過去の使用利益を含む妥当な金額の代償金を支払うことで、ビルを単独取得することになりました。
Xさんとしては、当初想定していたよりも多額の代償金を得ることができました。
(コメント)
遺産分割調停手続では、不動産の評価額について不動産鑑定士に鑑定を依頼する等の客観的根拠をベースに、裁判所の仲裁を受けながら柔軟に話し合いを進めることができます。
当事者同士の話し合いでは、平行線のまま話し合いが進まないような場合でも、遺産分割調停手続に移行することによりスムーズに話し合いが進むケースも多いです。