≪解決事例を更新しました≫「相続人不明(多数)の遺産分割の事例」
相続人不明(多数)の遺産分割の事例
(事案)
依頼者であるXさんは、父親から引き継いだ都内の自宅に、家族と居住していますが、今回建て替えを実施することにしました。
建築業者との打ち合わせの際に、自宅の不動産登記簿謄本を確認したところ、土地建物の名義は、Xさんの祖父の名義のままとなっていることが判明しました。
祖父の名義のままですと、金融機関から融資が受けられないのみならず、建物を解体することもできないと建築業者から説明を受けたXさんは、自宅の建て替えを進めるために、当事務所にご相談に来られました。
(ポイント)
Xさんの自宅のように、相続登記及び遺産分割が適切に行われずに、亡くなった方の名義のままとなっている不動産は意外と多いです。
今回、Xさんの祖父の名義のままとなっていますので、Xさんから戸籍を遡り、Xさんの祖父の相続人を調査しましたところ、Xさんの祖父の相続人は、亡くなっている方も多く、子の代、孫の代、曾孫の代と3世代にわたり、Xさんを含め35名もいることが判明しました。
Xさんがこの先も自宅に住み続けるためには、Xさん以外の34名の相続人から持分の譲渡を受け、土地建物を単独名義にする必要があります。
(結果)
戸籍の附票を取得する等してXさん以外の34名の相続人の住所を調査し、無償でその相続分を譲渡してほしい旨の連絡をしたところ、大半の相続人は応じてくれました。
しかしながら、そのうち数名の相続人とは連絡が取れなかったため、この数名の相続人を相手方として家庭裁判所に遺産分割審判を申し立てました。
この数名の相続人は、遺産分割審判に出席しなかったため、Xさんに土地建物を単独取得させる旨の審判がなされ、Xさんは無事にすべての持分を取得することができました。
(コメント)
Xさんのケースでは、大半の相続人は無償での譲渡に応じてくれましたが、持分に応じた対価を支払う必要が出てくるケースもあります。
相続登記がなされずに亡くなった方の名義のままとなっている場合、時間が経てば経つほど相続人の数は増え、相続人間の人間関係も希薄になるため、問題解決が難しくなります。
もしお持ちの不動産の名義が亡くなった方の名義のままである場合には、問題を先送りにせずに、早めに弁護士に相談することをお勧めします。