医療訴訟における患者側勝訴率は低くない
昨今インターネット上で、「医療訴訟の8割は患者の負け」と言う解説をよく見かけます。何をもって勝ち、何をもって負けというのかによると思うのですが、100~300万円程度以上の和解に至る事を「勝ち」と言ってよいのであれば、患者側の勝訴率は決して低いものではありません(当事務所では6~7割程度が該当します。)。
勿論患者さん・ご遺族にとってみれば、命の賠償、後遺症の賠償が数百万円と評価される事に納得のいかない気持ちが残るのはよくわかります。一方で医療においては、殆どの場合、死や後遺症は医師・医療機関ではなく「病気」から発生しており、医師・医療機関は死や後遺症等の結果を防げなかったにとどまりますので、ケースによって賠償額・和解額がこの程度になる事も、止むを得ない部分があります。しかし落ち着いて考えると数百万円という金額は決して小さいものではありませんし、交渉や裁判の過程で、医療の経過が明確になる事は、「納得」とはいかないまでも、割り切れない気持ちを抱え続けるより気持ちの整理がつくことは少なくありません。
「医療訴訟の8割は患者の負け」という根拠のない解説に惑わされず、事案をご検討いただければと思います。