弁護士コラム

京都大学部族病院でご点滴による死亡事故がありました

京都大病院(京都市左京区)は19日、薬の誤点滴や蘇生時のミスが重なり、入院していた男性患者が死亡したと発表した。事故の発生時期や患者の年齢について、京大病院は家族の強い意向があるとして、公表しなかった。

京大病院によると、死亡したのは心不全と腎臓機能の低下で入院していた成人男性。CT(コンピューター断層撮影)検査のため、腎臓への負担をやわらげる作用のある炭酸水素ナトリウムを点滴した際、誤って本来必要な濃度の6・7倍の製品を投与した。男性は点滴中や点滴後に、痛みやしびれなどの異常を繰り返し訴えたが、医師や看護師はミスに気づかなかった。

さらに、検査から3時間後に男性が心停止した際、蘇生措置をした医師が、血液を固まりにくくする薬を男性が飲んでいることを把握していなかったため、大量出血を招いた。男性の意識は戻らず、6日後に出血性ショックによる多臓器不全で死亡した。

宮本享病院長は会見で、「期待を裏切る結果となり、心よりおわび申し上げる。いくつものミスが重なり、患者の訴えを的確に受け止めることができなかった」と話した。再発防止策として、院内マニュアルや電子カルテ入力システムの改訂、臨時の講習会を実施しており、医師、看護師、薬剤師の連携を強化するとしている。

この事故で、京都大学が、

炭酸水素ナトリウム誤投与による急変死亡について」という報告書を出しています。

これを読むと、薬剤発注ミスや患者さんの容態の確認のミスがある事は明らかなのですが、一方で医療者の立場に立ってみると、どこにでも「起こりうる」ミスであるとも思えます。

この様な事故が起こるった時、被害に遭った患者さん・ご家族が大変不運で御気の毒なのは勿論ですが、ミスを起こした医療者もまた後悔に苛まれるところだろうと思います。

しかし、起こってしまった以上、如何につらくとも、その損害を患者・家族と医療者の間でどのように分担するのか、再発防止についてどの様な措置を講じるのか、その話し合いを始め、合意を形成しなければいけません。医療訴訟は、決して単なる権利の追及でもましてや喧嘩でもなく、そういう問題解決のプロセスであると私は考えています。