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Answer

入居者が夜逃げした場合に、建物の明け渡し、滞納賃料の回収を行った事例

事案

依頼者であるXさんは、都内にアパートを所有して賃貸経営を行っていますが、入居者の一人であるYさんが、室内に家財道具を残したまま、夜逃げをしていました。
Yさんは、個人で内装業を営んでいましたが、事業に行き詰まり、賃料を6か月分以上滞納した末に、着の身着のままいなくなってしまいました。
Xさんとしては、Yさんと締結した建物賃貸借契約書に「賃料を3か月以上滞納した場合は、賃貸人が残置物を搬出・処分し明渡しを行うことに同意する」という条項があることを理由に、室内に立ち入り、残置物を処分しようと処分業者に依頼したところ、処分業者より、室内に立ち入ってはいけないのではないかとアドバイスを受け、その確認をするために、当事務所にご相談に来られました。

POINT

部屋を借りている賃借人が夜逃げをして行方不明になり、連絡が取れないとしても、賃貸人が室内に立ち入り、残置物を搬出して自身で明渡しを行うことはできません。
これを「自力救済の禁止」といい、たとえ容認するような文言を契約書に入れていたとしても許されません。自己の権利を強制的に実現したい場合には、きちんと法律が定める手続に従わなければならず、それに反した場合には、相手方から損害賠償請求を受けてしまうおそれもあるのです。
このような場合には、賃貸人は、建物明渡請求訴訟を提起して明渡判決を得て、それに基づいて明渡強制執行を行うことになります。

結果

今回の事例では、賃料の滞納が6か月以上になっていたこともあり、問題なく建物賃貸借契約を解除することができ、建物明渡請求訴訟の提起から約4か月で明渡強制執行(断行)に至りました。
その結果、Xさんは何らの法的リスクを負うことなく、晴れて次の賃借人に部屋を貸すことができました。
また、建物賃貸借契約において、Yさんの父親が連帯保証人となっていたため、連帯保証債務を履行するよう交渉したところ、任意に全額の弁済を受けることができました。

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