不動産登記手続に関する解決事例
時効取得を原因とする所有権移転登記手続が認められた事例
- 事案
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依頼者であるXさんは、生まれ育った実家で長年暮らしており、今回建物を建て替えようとハウスメーカーと話を進めていたところ、敷地の一部が他人(Yさん)名義になっていることが発覚しました。
Xさんも、Yさんのことは知らず、親族に聞いても近隣住民に聞いても誰か分からないとのことでした。
この他人名義の土地をXさんの名義に変更できないと、建築基準法上の接道義務を果たすことができないため、Xさんは当事務所にご相談に来られました。
POINT
Xさんは、敷地の一部が他人名義であることを知らずに、40年以上にわたり、この土地を使用し続けていたために、この土地を時効取得することができます。
時効取得を登記原因とする所有権移転登記手続をするためには、①登記義務者である登記上の名義人(もしくはその法定相続人)に登記手続に協力してもらうか、②時効取得を認める旨の確定判決をもらうかのいずれかが必要となります。
- 結果
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まず登記上の名義人であるYさんについて調査したところ、既にお亡くなりになっていることが分かりました。
そのため、Yさんの法定相続人の調査を行ったところ、その法定相続人が10名もいることが分かりました。
その後、10名の法定相続人に対し、時効取得を援用する旨の通知をした上で、所有権移転登記手続に協力してほしい旨連絡をしました。
10人中9人は任意の協力に応じてくれましたが、うち1人は一切の連絡が取れなかったため、地方裁判所に対し所有権移転登記手続請求訴訟を提起し、時効取得を認める旨の確定判決を得ました。
その結果、Xさんの名義に所有権移転登記手続がなされ、Xさんは無事に自宅を建て替えることができました。