借地に関するトラブルについて

地主(借地権設定者、賃貸人)と借地人(借地権者、賃借人)との間の借地に関するトラブルは多種多様なものがあります。
借地契約には、戦前から続くものも多く、また契約書がなく契約内容が明確ではないものも珍しくありません。さらに、更新料、建替承諾料、譲渡承諾料、名義変更料などといった、借地以外の不動産取引では一般的ではない商慣習もあり、知識不足から想定外のトラブルとなってしまうこともあります。
借地に関するトラブルの相談事例としては、次のようなものがあります。

地主側からの相談事例

地代や更新料の不払を理由に解除したい

借地人が地代や更新料を支払わない場合には、その支払を求めるとともに、借地契約を解除して土地の返還を求めることができないかを検討することになります。
まず地代については、例えば1か月分の不払のみで解除が認められることはなく、一定期間地代の不払が継続し、催告にも応じないなど、賃貸借契約を継続し難い事情(信頼関係の破壊)があるときに初めて解除が認められることになります。
また、更新料については、そもそも更新料の支払について約定があるのかが問題となることも多く、不払の経緯によっては、解除が認められない場合もあります。
地主にとって、地代の不払は、定期収入が断たれるという意味において不利益ではありますが、一方で賃貸借契約を解除して土地の返還を求めることができるという意味においては利益となります。
以上の通り、解除のためには適切な手続が必要となりますので、地代の不払が一定期間継続した場合には、一度弁護士にご相談頂くことをお勧めします。

土地を返してほしい

契約期間の満了や相続などの理由に、地主側が土地を返すよう借地人に求めることがあります。
借地借家法(旧借地法)では、借地人は期間満了するまで借地を使用する権利が保護されているため、借地契約の期間の途中に地主の側から一方的に借地契約を解約することはできず、期間満了前に返還を求める場合には、あくまで借地人の合意を得る必要があります。
また、契約期間満了時に更新を拒絶する場合であっても、更新拒絶には正当事由が求められており、そのハードルは相当に高いものと言わざるを得ません。
当事務所では、期間満了前、期間満了時の更新拒絶で正当事由が認められ難い場合であっても、適切な借地権価格を算定のうえ粘り強く交渉し、借地権の買取をするということで紛争を解決に導いた実績もございますので、まずはお気軽にご相談ください。

借地人側からの相談事例

借地上の建物の建て替え(増改築)に地主が応じてくれない

借地上の建物を建て替えたり、増改築したりする場合には、原則として地主の許可が必要とされています。これは、借地契約は、建物の朽廃によって終了するところ、建物を建て替えると、建物寿命が延び、その結果、借地契約の終了を理由に土地を返してもらえる可能性が低くなるという意味で、地主にとって不利益となるためです。
一般的には、地主に建替承諾料を支払って、建て替えの承諾(借地条件の変更を含むことが多いです)をもらうことになりますが、地主が応じない場合には、裁判所に対して、増改築の許可(借地条件の変更)を求める借地非訟手続を申し立て、地主に代わって裁判所に許可をしてもらうことになります。

借地権の譲渡を地主が承諾してくれない

借地上の建物は借地人の所有物ですが、同建物を譲渡する場合には、その敷地である借地権も合わせて譲渡することになります。
そして、借地権の譲渡には原則として地主の承諾が必要となります。
一般的には、地主に譲渡承諾料を支払って、譲渡の承諾をもらうことになりますが、地主が応じない場合には、裁判所に対して、土地の賃借権譲渡許可を求める借地非訟を申し立て、地主に代わって裁判所に許可をしてもらうことになります。

地主から借地契約を更新しないと言われた

借地上の建物に居住していたところ、借地権設定契約の期間満了に際して地主の側から借地契約を更新しないと言われてしまったという相談を受けることがあります。
借地契約の更新拒絶については、法律上は正当事由がなければできないとされており、正当事由が認められるか否かについては、地主と借地人が土地の使用を必要とする事情や、財産上の給付(立退料の提供等)の申出等を総合考慮して判断されます。
正当事由が認められない場合、法律上は借地を返還する必要はないのですが、一方で、例えば、借地人が今後建物を使用する必要性があまりないのであれば、借地権を買い取ってもらうということは、借地人にとってもメリットになります。
当事務所では、どのような解決がご相談者にとって最良の結果になるのか、徹底的に調査・分析の上で適切な解決に向けてサポートさせて頂きます。

借地契約は、
数十年単位で
継続するものであるため、
地主・借地人ともに、
その資産価値に
気づいていない
場合も少なくありません。
借地に関するトラブルは、
上記以外にも様々なものが
ありますので、
ぜひ一度ご相談ください。

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